ジョーが行方不明になって半年。
儂はとある地方都市に赴いた時、一人でバスに乗った時にジョーに似た人物を遠目で見かけた。
彼は全く気が付いていない。彼がバスを降りたので慌てて降りて追いかけたら、ある一軒家にたどり着いた。
「只今。お母さん」
(お母さん。って言ったのか。とすると別人だったか)
よく似た別人だと思い、その場を離れようとしたが、
「待って下さい。ギルモア博士。
お話があります。どうか入ってください」
と言われたので部屋に入ると一人の老婆がベットに眠っていた。
ーここでしゃべると起こすからー
という理由で別の部屋に連れていかれ、今までの事を話してくれた。
彼は黒い幽霊団の戦闘で記憶喪失になり、彼女に自分の事を本当の息子だと思われている事など、今までお世話になってたという事を話してくれた。
そして、
「僕には彼女を見捨てることは出来ません。どうか僕の事を忘れて下さい」
と言われ、儂は研究所に戻った。色々な事を考えているとイワンに話しかけられた。
「何かあったの」
と解っているはずなのに知らないふりをするイワンに儂は苦笑した。しかしその瞬間。
「いけない!ジョーの身に危険が!」
ドルフィン号でジョーの所に行ったら家は木っ端微塵に破壊され、そこには亡くなった老婆を抱きかかえ呆然と座っているジョーが居た。
「どうして、やっと巡り合えたのに」
手紙を握りしめ涙を流していた。
その手紙には、
『私のかわいいジョー。
あなたを捨てたくて捨てたのではありません。
当時、私は生体工学者でとある悪の組織に狙われていました。
私と一緒に居ると産まれたばかりのあなたまで危害が及ぶと思い、貴方を手放しました。でも結局貴方はその組織にサイボーグにされてしまいました。
当時、ギルモア博士を恨んだものです。
よくもジョーを改造してくれたなと。
でもギルモア博士のおかげでジョーは悪の道に踏み外す事もなかった事に感謝しています。
ありがとう。ギルモア博士、私の子を守ってくれて。』
と書き綴られていた。
ゼロゼロナンバーはジョーが生きていたことを喜んでいたが、当のジョーは悲しんでいた。
「そうか彼女がジョーの実の母親か」
と言い彼女の事を話してくれた。
彼女の名前は島村マサ。
ギルモア博士の黒い幽霊団時代の同僚だった女性。
天才的な生体工学者でどんなものでつくることが出来る学者だった。
それを聞きながら、
ーありがとう、お母さん。
あなたが助けてくれた命、未来に繋いでいきます。ー
と思ったのはいうまでもない。